2024年の"推し"本 Advent Calendar 2024の2日目の記事です. 2作品紹介します.
1作品目: 雨夜の月
1冊目は「雨夜の月」です.
金田一咲希は高校入学直前のある日、ピアノレッスンに向かう途中で見知らぬ同世代の少女とぶつかり手を擦りむくが、相手から無言で落とした楽譜を丁寧に拾われ絆創膏をもらう。咲希は印象的だったその少女とクラスメイトとして再会し、名前が及川奏音、そして耳が不自由だと知る。学校では障害を理由に周囲と距離を置く奏音に、淋しさを覚えた咲希はどうにか分かり合おうとし、そんな彼女の姿に奏音の態度も次第に変わっていき…。
雑に説明すると「百合モノ」となるのですが,ちゃんと説明すると「聴覚障害を持っているヒロインと彼女に好意を持っているヒロインの葛藤を描いた作品」です.
アニメの世界で百合といえば「てえてえ」で済む話ですが,現実世界でセクシュアルマイノリティといえば人に喧伝したくない話題だったりします. この作品はそういった部分でのヒロインの葛藤や,聴覚障害という壁があることでお互いに負担になっているんじゃないかという葛藤,そういった面からは見えない悩みを描いた青春作品となります.
この漫画,布教用を買うくらいには好きな作品で,実は2023年くらいから読んでいるんですが,2024年の推し本として紹介する理由は2つります.
推しポイント1: 漫画の表現として聴覚障害を描いている
この作品は漫画の表現として聴覚障害を描いているのですが,実は読んでいてそのことに気がついたのが今年の頭でした.
ちょうど夏祭りの花火が上がるシーンを読んでいた時に,通常であれば「ドーン!!!」と書かれているであろう花火の効果音が描かれていないことに気がつきました.
そこで,まさかと思って1巻から読み直したところ,聴覚障害を持つヒロイン視点の場面は効果音がないことに気がつきました. つまり,そのヒロインが聞こえている音しか漫画上に描かないという表現をしていて「これはすごい」と正直鳥肌が立ちました.
そんな花火のシーン,ものすごく綺麗な1枚絵なのでぜひ読んでみてください.
推しポイント2: TVアニメ化決定です
今年めでたくTVアニメ化が発表されました. ずっと漫画を読んでて「これをアニメ化しないのであれば世間は節穴か?」と思っていたので順当な結果なのですが,めでたいですね.
2作品目: 聲の形
今更?と思うかもしれませんが,今年初めて「聲の形」のアニメを観まして,あまりの良さにBDと漫画を買いました. 2016年公開なので,もう8年前の映画なんですね...
聲の形も聴覚障害をテーマとした作品で,なんとなく観て来なかったのは「世間一般の評判がいいから」で,なんとなく観たのは「雨夜の月を読んでいたから」な気がします.
これも良い作品なので(圧倒的にもう観てる人の方が多い気はしますが)ぜひ観て(読んで)みてください.
アニメを観て漫画も読んでも,結局なんで西宮が石田のことを好きになったのかがわからずずっとモヤモヤしているので,何か知ってる人がいたら今度語りましょう.
2作品の共通点や最近思ってること
アニメといえば「灼眼のシャナ(3期おすすめ)」だったり「ごちうさ」だったりは普通に好きではあるんですが,最近は見る作品もだいぶ減ってしまい,かつアニメであれば何でも見るということをすっかりやらなくなってしまいました(これが大人になるということ?).
そんな中で比較的最近観たアニメで印象に残っているのが「進撃の巨人」だったり「無職転生」あたりで,どれも何かしらの葛藤描いている作品だったりします.
そういった葛藤を描いた作品というのは読むのも観るのも疲れる類と言われたりするんですが,多分そういう作品が好きなんだと思います.
「雨夜の月」も「聲の形」も「進撃の巨人」ほど重たい内容ではないんですが,笑って無邪気に見れるほど能天気な内容ではないのは確かです.
どちらも表題としては聴覚障害を扱っていますが,当然それ以外の問題もあるわけで,近年はYouTubeなどのおかげで自身の認知の外側の問題にも気がつきやすい世の中になりつつあるなととは思っています.
そういった気づきを得られる作品という意味でも「雨夜の月」と「聲の形」は良い作品だなと感じています.